IT & Information security Journal

脅威とサイバー攻撃

サイバー攻撃は日々、高度化・巧妙化を続けており、企業の情報資産は現在、重大な脅威にさらされています。警察庁が「サイバー空間をめぐる脅威は極めて深刻な情勢が続いている」(「令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」令和5年3月16日)と警鐘を鳴らすように、「ランサムウェア」の感染被害は2020年下半期以降増加の一途をたどり、2022年には230件(前年比57.5%増)の被害が報告されています。また、サイバー攻撃の被害がサプライチェーン全体に影響を及ぼす例も見られます。 企業には、犯罪者グループなどによる「外」からのサイバー攻撃への対策とともに、従業員による不適切な情報の取扱いや情報漏えいの防止策など、組織「内」におけるセキュリティ体制整備も求められます。

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79件見つかりました

正規権限を狙う偽警察官型ソーシャルエンジニアリング 企業の資金流出・情…

相次いで発生した2つの事案。いずれも、攻撃者は認証を突破しておらず、システムの脆弱性も悪用していませんでした。それでも、被害組織からは資金が流出し、機密情報が漏えいしてしまったのです。 近時、警察官や捜査機関を名乗る者が、対象者に「あなたに嫌疑がかかっている」「潔白を証明するために協力が必要である」といった虚偽の捜査協力要請を告げ、電話や通信アプリを悪用し、偽造された公的書類等の画像を用いて信頼させ、業務権限を行使させる事案が散見されます。このような方法は技術的な攻撃ではなく、権限を有する者の意思決定過程そのものを標的としており、本稿では「偽警察官型ソーシャルエンジニアリング」と呼ぶこととします。 偽警察官型ソーシャルエンジニアリングの本質は、対象者の意思決定を利用した「正規権限の悪用」です。攻撃者はシステムを突破するのではなく、権限を有する者にその権限を行使させます。そのため、認証強化や教育だけでは十分ではなく、技術統制、業務統制および人的統制を組み合わせた統制設計が求められます。また、そのような統制を有効に機能させるためには、経営陣による監督やリスク管理を含むガバナンスの整備も不可欠です。 本稿では、2026年に発生した2つの事案を素材として、「正規権限の悪用」という観点から、その課題ととるべき対策を検討します。

北條 孝佳

北條 孝佳

西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士

従業員を狙うソーシャルエンジニアリングの実態

採用面接・打ち合わせを装う攻撃者 関係を築いてから仕掛けるサイバー攻撃…

ある採用担当者のもとに、転職を希望する人物からメッセージが届きます。職務経歴書や、実績や成果物、スキルや経験を具体的に示す資料も自社の求める人材像とよく合っており、相手が所属先として示した企業のWebサイトも実在しているように見えます。 やり取りを重ねるうちに話は具体化し、オンライン面接を設定することになりました。面接の中で、応募者は「成果物」として1つのリポジトリを共有し、「手元で動作させ、確認してほしい」と依頼します。開発者や技術職の採用担当者にとって、それは日常的な確認作業です。プロジェクトを取得し、依存関係を導入し、起動する。ここまでは、何も不自然には見えません。 しかし、この転職希望者が組織へ侵入を企てる攻撃者だとしたら——。 前回(第3回)は、心理学の観点から権威、好意、希少性といった要素がどのように相手の判断を歪ませるのかを見てきました。 今回は、そうした「騙しのテクニック」が、関係構築、面接、会議といった一連のやり取り全体に分散して配置される攻撃について紹介します。

横尾 智嗣

横尾 智嗣

株式会社ラック サイバー・グリッド・ジャパン 次世代セキュリティ技術研究所 脅威分析グループ

アスクルCEOが語る、ランサムウェア被害下での意思決定と逆境から進化への…

2025年10月にランサムウェア攻撃を受け、全物流センターの停止から完全復旧まで3か月半を要したアスクル株式会社。2025年11月度の売上高が前年同月と比べて約95.1%減少し、約74万件の個人情報の流出も招いたこの未曾有の危機に、同社 代表取締役社長CEOの吉岡 晃氏はどう向き合ったのでしょうか。 吉岡氏が拠り所としたのは、あらかじめ定めた3つの判断軸でした。「被害の拡大防止」「安全かつ安心な再開」「一刻も早いサービス再開」——これらの命題にもとづき、侵害されたシステムをゼロから再構築し、従来の手法なら3か月かかるとされた作業をわずか2週間で完了させました。 緊急事態下で行われた意思決定の全容と、AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)のアプローチにより、逆境を進化へと転換した軌跡について、2026年6月26日に開催された「AWS Summit Japan 2026」Day2のセッション「ランサム危機を転機に―アスクルが加速させたAI-DLC」で吉岡氏が語りました。

徳丸浩氏が読み解く、CAMPFIREのGitHub漏洩調査報告 今後は生成AI活用で漏…

クラウドファンディングサイトを運営する株式会社CAMPFIREは6月2日、「不正アクセス事案にかかる調査結果について」を公表しました 1。4月に発生した同社のGitHubアカウントへの不正アクセス事案について、外部専門機関による調査結果を踏まえて詳細に報告しています。 22万件以上の個人情報が漏洩したおそれがあると報告されている本事案。Webセキュリティの第一人者である徳丸浩氏に、「事案の一区切りとなる調査結果をどう受け止めたのか」「生成AIの活用拡大やクラウド開発環境の普及に伴う、開発環境を起点とした情報漏洩リスクへどう対応すべきか」など、調査結果や本事案の要点について聞きました。

企業サイトで相次ぐpolyfill.ioの「不審な認証画面」 徳丸浩氏が語る原因…

2026年5月から6月にかけて、良品計画や東芝、象印マホービンなど複数企業のWebサイトで、ユーザー名とパスワードの入力を求める不審な認証画面が相次いで表示されました 1。原因は、2024年にソフトウェアサプライチェーン攻撃の温床にもなったJavaScriptライブラリ「polyfill.io」を、各社が依然として削除していなかったことにあります。 Web開発の利便性を支えてきたライブラリが攻撃経路となった今回の事案は、ソフトウェアサプライチェーンのリスク管理に関する課題を浮き彫りにしています。Webセキュリティの第一人者である徳丸浩氏に「防げた事故だったのか」と、本件を教訓として企業がとるべき対策、ソフトウェアサプライチェーンをとりまく昨今の問題について聞きました。

安野貴博氏に聞く、Mythosが企業にもたらす最大のセキュリティリスクと対…

2026年4月7日、米Anthropic社は、脆弱性の発見・悪用が可能な高い能力を持つAIモデル「Claude Mythos Preview(以下、Mythos)」を公表しました。これにより、脆弱性への対応スピードが追いつかなくなる可能性をはじめとして、既存のセキュリティ対策の前提が根底から覆されかねないとの警戒感が高まっています。 Mythosは現在、一部パートナー企業への限定提供にとどまっていますが、同水準の能力を持つ、いわゆる「フロンティアAI」の進化は加速の一途をたどっており、今後、一般に普及していくことも考えられます。 こうしたなか、チームみらいの安野貴博党首は、5月14日の党首会見で、Mythos等による影響について言及。政府による対応の温度感は上がってきているものの、初動に約1か月を要したことについて「もう少し早くできるべきではないか」と指摘し、今後発生する関連事象への反応速度が向上するよう、政府に提言するとしています 1。 Mythosの登場は、一般企業のセキュリティ対策にどのような影響を及ぼすのでしょうか。フロンティアAIがもたらすリスクの実態と、企業が取るべき対策、動向のスピード等について安野氏に聞きました。

従業員を狙うソーシャルエンジニアリングの実態

心理学から紐解くソーシャルエンジニアリングの手口と対策 「なぜ人は騙さ…

フィッシングやビジネスメール詐欺(BEC)など、人間の心理や行動の隙を狙うサイバー攻撃である「ソーシャルエンジニアリング」による被害が深刻化しています。この攻撃は、情報または金銭の詐取を目的に、情報システムを利用している人の脆弱性を狙います。なぜなら、試行錯誤して情報システムの脆弱性を探すよりも、同じ手口を使い回して誰もが持っている認知の脆弱性を悪用する方が、攻撃者にとっては断然コストパフォーマンスが高いからです。 本記事では、ソーシャルエンジニアリングのさまざまな手口に被害者が騙されてしまう背景と、攻撃者が用いる騙しのテクニックを紹介したうえで、心理を踏まえた対策について解説します。

鈴木 悠

鈴木 悠

株式会社ラック 次世代サイバー技術本部 サイバー・グリッド・ジャパン コグニティブセキュリティ研究グループ

辻伸弘氏が語る最新セキュリティ脅威と2026年の対策 侵入前提でも「防御を…

ランサムウェア攻撃をはじめ、サイバー攻撃の分業化が進み、攻撃者の裾野が広がるなか、企業に求められるセキュリティ対策も刻々と変化しています。近年の動向を踏まえて、企業は2026年にどのような対策に取り組むべきなのでしょうか。 2026年1月に「脅威、思い出のアルバム2025」と題して講演した、SBテクノロジー株式会社(現 ソフトバンク株式会社)の辻 伸弘氏は、2025年のランサムウェア攻撃の傾向を振り返ったうえで、実効的なバックアップのためのポイント、フィッシング攻撃の多様化による影響、そして情報窃取型のマルウェア「インフォスティーラー」の脅威と特徴について詳しく解説しました。

従業員を狙うソーシャルエンジニアリングの実態

ビジネスメール詐欺(BEC)最新動向 1件で1億円超の被害も、「本人確認」…

企業の取引先やCEOなどになりすましたメールによって従業員をだまし、犯罪者の口座へ送金させる「ビジネスメール詐欺(BEC)」による被害が、国内企業でも発生しています。特に2025年末からはLINEを悪用した新たな手口も確認されており、従来の対策だけでは防ぎきれない局面を迎えています。 本記事では、最新の手口から実効性のある事前・事後対策まで、詳しく解説します。

小森 美武

小森 美武

株式会社ラック 金融犯罪対策センター エバンジェリスト

従業員を狙うソーシャルエンジニアリングの実態

企業で相次ぐフィッシング被害、最新トレンドと対策 被害事例、手口、実務…

従来、フィッシングといえば個人を標的として、犯罪者が詐取した認証情報をもとに、銀行の口座からお金を盗んだり、クレジットカードを不正利用したりする等の被害が発生してきました。しかし、近年では、法人のフィッシング被害が急増しており、特に「ボイスフィッシング」といった巧妙な手口による金銭被害が相次いで発生しています。 企業の資産、および従業員を守るためには、どのような対策をとるべきなのか。本記事では、特に企業のフィッシング被害事例を詳しく紹介したうえで、企業およびセキュリティ担当者がとるべき対策を解説します。

小森 美武

小森 美武

株式会社ラック 金融犯罪対策センター エバンジェリスト

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