この記事のポイント
- 「corp-engr(情シスSlack)」は、全国の情シス約1万人がつながり、相談しあえるコミュニティ
- 技術的な悩みの解決策や、稟議の通し方のような実務の知見、求人、勉強会など幅広い情報に触れることができる
- 新規参加者には、他の参加者によるブログやノウハウに出会える#prj-outputや、旬のトピックであるAIに関する#topic-aiがオススメ。またMicrosoft 365をはじめ、導入企業が多いシステムに関するチャンネルが活発
2019年にSlack上に立ち上げられた情報システム担当者のためのコミュニティ「corp-engr(通称:情シスSlack)」。主に企業の"情シス"が参加しており、実務上の技術的な相談や様々な情報共有ができる場です。
2023年10月時点で約1万人が参加する同コミュニティの管理者であり、一般社団法人日本ビジネステクノロジー協会の理事を務めるお二方に、立ち上げの経緯やオススメのチャンネル、corp-engr(以下、情シスSlack)のなかでの印象的なやりとりなどを聞きました。
この記事のポイント
まず岡村様、引田様の現在のお仕事についてお聞かせください。
岡村氏:
インフラエンジニア・SRE等の業務を経て、現在は株式会社スタディストで情シス担当として勤務する傍ら、日本ビジネステクノロジー協会の代表理事を務めています。情シスSlackではokash1nの名前で活動しています。
引田氏:
私はSIerで官公庁の情報システム設計、構築、運用や、オフコン修理などを経験した後、中小・スタートアップ企業で情シスを担当してきました。現在は株式会社カンムのコーポレートエンジニアです。日本ビジネステクノロジー協会では理事に就いており、情シスSlackでの名前はhikkyです。
お二人は情シスSlackが立ち上がった後に運営に携わるようになったと聞きましたが、どのような経緯だったのでしょうか。
岡村氏:
私はもともと個人で、情シス向けの小規模なイベントを開催していました。総務や情シス、人事などの担当者が、テクノロジーで効率化に成功した事例を紹介する、といった内容で、企業の情シス担当者が、他の人の考え方や仕事のやり方、意見を積極的に聞ける場をつくろうとしていたんです。
その活動をしているさなか、当時立ち上がって間もなかった情シスSlackに勢いが付き始めていました。目的が近いのであれば、コミュニティが乱立するよりも1か所にまとまったほうがいいと考え、情シスSlackに参加することにしました。
引田氏:
私もマイクロソフト製品やIdP(IDプロバイダー)製品に関する勉強会を主催していました。情シスSlackにも当初から参加していたなかで、勉強会の開催で得た知見やベンダーとのつながりを活かせるのではないかと感じ、管理者のポジションに手をあげたのが運営に関わるようになったきっかけです。
参加者は約1万人ということですが、主にどのような方々が参加しているのでしょうか。
岡村氏:
属性の情報は取得していませんが、業界としてはやはりIT系企業の人が多い印象です。
引田氏:
発言や相談の内容を見ると、スタートアップから大企業に所属する人まで、多種多様な人が集まっていることがわかります。ただ大企業の場合は、会社の規程で書き込みをしたり閲覧したりすることが禁止されていることもあるようで、発言等の中心となっているのはひとり情シスや、~300人規模の会社の人が多いのではないかと思われます。
情シスSlackの参加者が得られるメリットとしてはどのようなことがあげられますか。
引田氏:
まず、困りごとや悩みごとの相談先として利用できることが大きなメリットでしょう。ひとり情シスの方々は、なかなか相談できる相手が見つからないことも多いと思いますが、情シスSlackに参加することで、幅広い知見を手に入れることができます。
岡村氏:
「稟議を通すために上司にどう説明したらいいか」を情シスSlackで相談して、そこで得た知見やアドバイスを活かしたらすんなり通った、という例もありました。多くの人が参加していることから、導入予定のシステムやサービスの評判・意見を幅広く聞くことができますし、サーバーダウンなどの障害情報は、公式情報や他のSNSよりも早く把握できる場合もあります。とあるサービスの不具合が情シスSlackで話題になり、参加者がサービス提供者に問い合わせたところ、それがサービス提供者側でも認知していなかったバグだとわかって、修正に貢献したということもありました。
引田氏:
情シスSlack内に#topic-recruitという採用情報を扱うチャンネルがあるのですが、情シスSlack内でよく発言し、有名になっていたひとり情シスの参加者がここで人材募集をかけ、採用に成功したという例がありました。就職・転職を希望している応募者側からしても、まったく知らない職場へ行くよりも、誰か知っている人がいるところのほうがやはり安心できますよね。情シスSlackでの投稿を見て、発言者の人の会社で使っているシステムに興味を持ち、「自分も使ってみたい」という動機で転職を考える人もいるようです。
岡村氏:
また、個別に勉強会を開催している人にとっては、人を集める場として使うことができますし、逆にそういう勉強会に行きたいと思っている人には、どこでどんなものが開催されているのか、情報を集めるのにも便利だと思います。
引田氏:
なんでも話題にできる#free-talkチャンネルに「おいしいラーメン屋さんを教えてください」という書き込みがあった時には、全国から「知見」が集まっていました(笑)。「今度出張で行ったときに食べてみます」といった反応があったりするなど、フランクなつながりができることも魅力かもしれません。
新しい参加者にオススメのチャンネルとしてはどのようなものがありますか。
引田氏:
すべてオススメと言いたいところですが、ピックアップするとしたら、まず情シスのみなさんのアウトプットが見られる#prj-outputでしょうか。このチャンネルではブログやQiitaの投稿といった参加者による執筆情報が投稿されており、「他社の情シスはこんなことをやっているのか」「このやり方は真似してみよう」などと、自身の仕事の参考にしやすいかと思います。
最近話題の生成AIに関しては#topic-aiがあります。今後、ChatGPT Enterpriseの使い方や、設定方法などの話題で活性化するかもしれません。
自身が置かれている状況や、現在の所属企業のフェーズによってもオススメのチャンネルは変わりますので、情シスSlackに参加したら、とりあえず全チャンネルを眺めてみていただきたいですね。どこに相談したらいいかわからない内容は#ask-anythingに書き込めば、その場で回答が出たり、誰かが適切なチャンネルに誘導してくれたりするでしょう。
岡村氏:
Microsoft 365やGoogle Workspaceなど、導入企業が多いシステムに関するチャンネルは利用者も多く、活発ですね。様々なノウハウが見られますし、導入・設計に関する相談などにも回答がつくのが早いです。
全国から多くの人、多様な人が参加しているからこそ、様々な話ができるということですね。
岡村氏:
その点は、Slack上で運営しており場所や所属を問わないコミュニティであることのメリットだと思います。一方で、一部の参加者にとっては「書き込みにくくなった」と感じられることもあるようです。
引田氏:
1万人が見ているかもしれない場所に書き込みをするのが怖い、という声を聞くことがあります。規模が拡大するにつれ、投稿することへの心理的なハードルが高くなってしまっているのかもしれません。また多種多様な人が参加しているので、言葉の捉え方も様々になってきており、ある人にはなんでもない言葉が、他の人には不快感を与えてしまうというケースもあります。不快に感じた発言を削除してほしいという依頼には、適宜、我々運営が対応しているので、参加者の方には、安心して発言していただきたいです。
岡村氏:
1つだけ、今後参加される方へのお願いとしては、情シスSlackはサポートセンターではありませんので、まずご自身で検討したうえで質問を書き込んでいただけると助かります(笑)。
最後に情シスSlackの展望をお聞かせください。
岡村氏:
参加者の数が増えて書き込みにくいという弊害を減らすためにも、チャンネルは少し整理して、より迷わずに投稿できるようにしたいと思っています。
引田氏:
運営メンバー内ではずっと議論しているのですが、ベンダーさんとのSlackコネクトチャンネルを作成して、ざっくばらんにやり取りができるようにしたいと思っています。ベンダーさんに見積もりを依頼しても上がってくるまでに時間がかかったり、問い合わせに対して何日も音沙汰がなかったり、ということが珍しくないので、その課題感を情シスSlackで解決できたら嬉しいですね。
また、ライトニングトークをしてみたい人向けのオフラインイベントなどを継続することで、初心者に優しい運営も心がけていきたいです。
ありがとうございました。
お二方が所属する一般社団法人日本ビジネステクノロジー協会は、2023年6月、一般社団法人サイバーセキュリティ連盟と共同でサイバーセキュリティに特化したSlackコミュニティ「Cyber-sec+(サイバーセキュリティ プラス・通称:Security Slack)」を立ち上げました。次回は情シスSlackの兄弟版ともいえるSecurity Slackを立ち上げた目的や運営状況、参加者が得られるメリットなどを紹介します。
(取材・文:渡邊智則、写真:岩田伸久)この記事は会員限定です。
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